契約書に内覧会(竣工検査)立会いを明記すべきか

内覧会は契約書に明記?

建売住宅の売買契約や注文住宅の建設工事請負契約を締結する前に、買主や施主から「内覧会を開催してもらうように契約書に書いてもらった方がよいか?」と相談を受けたことが何度もあります。これを正しく理解しておくため、内覧会(=竣工検査)に対する不動産会社や工務店の意識などを知っておく必要がありますから、ここで解説しておきます。

1.内覧会(竣工検査)の開催は当然のこと

新築住宅の完成後、引渡し前に実施される買主や施主による確認の機会(施工精度などをチェックする場)を内覧会や竣工検査と呼んでおりますが、この内覧会(竣工検査)は本来ならば開催すべきものですし、開催して当然のものです。

当然のことをいちいち契約書に書いておくべきかどうか悩むことがあるようですが、実際に書いておけばよかったという相談に遭遇したことも何度かあります。

内覧会の開催は当然

1-1.施主や買主が確認するために必要な内覧会

内覧会では、完成した住宅の出来栄えを買主や施主がチェックするわけで、これがないと施工不良の多いまま引渡しを受けてしまうリスクがあります。入居してから気づいた施工不良の補修を求めても、対応してもらえないこともありますから、引渡し前には必要なものだと断言できます。

1-2.言わないとやらない不動産会社・工務店もある

多くの新築住宅の取引(建売の売買でも注文住宅の新築でも)において、売主から買主へ、もしくは工務店から施主へ内覧会を開催する案内をして、日程調整しています(呼び名は内覧会ではなく立会い日などと言うこともあります)。

これが当たり前のことだけに、それほど心配しなくてもよいはずなのですが、一部の不動産会社や工務店では内覧会を買主等へ案内していないケースがあるのです。買主等から働きかけることで重い腰をあげることもあれば、「内覧会なんてやらない。引渡しの後に勝手に自分立ちでみてくれ」などというひどい業者もありました。

ほとんどの業者は内覧会を開催するが、一部では言わないとやらないことがあると理解しておくべきです。

そして、言わないとやらない業者は、小規模な会社や田舎でよく見られる傾向にあります。田舎の方が信用で商売しているのだという意識が強いのかもしれませんが、世間との意識ずれが大きい証でもあります。

1-3.仲介業者が内覧会の開催は当然のことと言っても

買主が心配して、「念のため、売買契約書に内覧会を実施すると明記してほしい」と仲介業者に要望したとき、仲介業者から「それは当たり前のことだから、わざわざ契約書に記載する必要がない」と回答されるケースが何度かありました。

確かに仲介業者の説明のとおりで、内覧会を実施すること自体は当たり前ですし、記載していなくても実施することがお非常に多いです。

しかし、実際に一部では言わないとやってくれない業者があることも考慮して、念のために書いてもらってもよいはずです。それに、実施するのですから、契約書に書いても誰も不都合はないですね。

心配なら明記してもらうように、仲介業者に相談してもよいでしょう。

2.契約書に明記するべきポイント

内覧会を開催することに関して、売買契約書や建設工事請負契約書に明記してもらうことになったとき、具体的にどのようなことを書いておくとよいのでしょうか。ここでは、以下の4点を紹介します。

契約書の記載事項

  1. 内覧会(竣工検査)を開催すること
  2. 施主・買主が第三者を同行してもよいこと
  3. 開催時期(完成後・引渡し前)
  4. 引渡し前までに補修を完了すること

内覧会を開催するという事実や時期のことなどについて取り決めておきたいものですが、それぞれの詳細は以下で解説します。

2-1.内覧会(竣工検査)を開催すること

まずは、内覧会(竣工検査)を開催するという事実を明記してもらいましょう。建設工事請負契約書では、初めから記載されているものを見かけることも少なくありません。竣工検査や完成検査を実施することが既に書かれているならば、この点は心配無用です。

2-2.施主・買主が第三者を同行してもよいこと

内覧会の場に、買主や施主が第三者の専門家を同行し、自分たちに代わって(もしくは一緒に)施工品質のチェックをしてもらう人は非常に多いです。建築分野の専門知識や経験がなければ、せいぜい傷や汚れくらいしか見つけられませんが、専門家なら建物の機能・性能などに問題があることなどを調べてくれるのでメリットが大きいです。

第三者の専門家を同行する場合、所有権が移転する前の敷地や建物内部へ出入りするわけですから、念のために契約書に記載しておくとより安心です。「念のために」と書いたのは、明記していなくても専門家の立会いを断るケースは非常に少ないからです。

ただ、断ることが絶対にないわけではないので、同じ記載するならこれも明記しておくと無難です。

2-3.開催時期(完成後・引渡し前)

内覧会の開催時期は大事なことです。まだ、内覧会をするには早すぎるタイミングで開催されても、本来の目的である完成状態のチェックを満足できないことがあるからです。また、引渡し後に開催されても引渡し前に補修してもらうことができないです。

そこで、建物完成後、引渡し前に実施することを明記してもらいましょう。「完成後」「引渡し前」の2つとも妥協できない大事なポイントです。

2-4.引渡し前までに補修を完了すること

内覧会(竣工検査)を実施したとき、売主や工務店に対して補修してほしいことを伝えることになりますが、この補修工事をいつまでに完了してもらうかも大事なことです。引渡し前に補修工事を完了してもらい、且つ、補修後の状態を現地で確認しておく必要があります。

2-5.契約書に明記する具体案

それでは、最後に契約書に明記する場合の具体的な文章例を紹介します。もちろん、この通りに記載しなくても内容が網羅されておれば問題はありません。

工事請負者は、住宅完成後・引渡し前に施主による完成検査の機会を設け、その補修工事及び補修工事完了後の確認も引渡し前に完了する。完成検査日は工事請負者及び施主が協議して決めるものとする。なお、施主が希望する場合には施主が指定する者を完成検査に同行することを工事請負者は承諾するものとする。

建売住宅の売買であれば、工事請負者は売主、施主は買主へ言い換えることになります。

内覧会に関して契約書で取り決めがなくとも、問題なく開催されることが非常に多いですが、念のために明記してもらうことは、安心できる住宅購入法の1つになるでしょう。

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