新築住宅の完成・引渡しが遅れたときの内覧会対策

新築住宅の完成遅れと内覧会

売買契約もしくは工事請負契約の対象となっている新築住宅が完成する時期になると、買主(または施主)ならその完成状態を見るとき、つまり内覧会が楽しみでしょう。しかし、完成が近づいてきたときに工務店や不動産会社から「工事が遅れてしまって、完成も引渡し日も少し遅れそうです」と言われることがあります。

楽しみにしていた完成お披露目が遅れるのは残念ですが、それ以上に引越し日が遅れるなどの影響が出てくることもあり、遅延日数によっては買主側に実害が生じることもありますから、注意して対策をとりたいものです。

建物の完成が遅れ、引渡まで遅れそうになったときの内覧会に際して、買主が注意すべきことや対策についてアドバイスします。

1.新築住宅の完成・引渡しの遅れで心配なこと

新築住宅の完成および引渡しの遅れを原因として、内覧会まで遅れることもありますが、これらの遅れによって心配されることを把握しておきましょう。ここを理解しておくことで、その後に紹介する対策の重要さもわかりやすいです。

1-1.突貫工事の実施

建築工事が遅れることで最も心配されることは、突貫工事の実施です。予定していた工程より遅れた分、工事を急ぐことで取り返そうとする工事現場は多いですが、これは買主にとって悲惨な結果を招くことがありますから、好ましくありません。

それぞれの工程に必要だと考えていた時間をかけることが、個々の工程の作業を丁寧に進めるために必要なことです。

1-2.施工ミスや不具合の発生

突貫工事をしてしまうと施工ミスや不具合が生じることが心配されます。急いで作業するということは、作業員も慌てていますし、管理すべき人もきちんと管理できないでしょう。それでは、工事が雑になってしまい、結果的にミスが起こりやすいのもわかりますね。

施工ミスや不具合は、不注意や突貫工事から生まれることが非常に多いですから、買主としては建築中も完成後も時間をかけてしっかりチェックしなければなりません。

1-3.引渡し後・入居後の後悔

突貫工事による施工ミスや不具合が生じていても、内覧会のときには気づかず、入居してから気づくことがあります。入居してからでは、補修対応してもらうときに自宅で立ち会う必要があったり、一時的に退去を余儀なくされたりすることもありますから、避けたいものです。

買ったばかりの新築住宅で、住みながらにして補修工事ばかりしている光景は、買主としては悲しいものです。

引渡し後や入居後に後悔することのないように、突貫工事による施工ミスを早い段階で防ぎたいものです。

1-4.引渡し時期のトラブル

完成が遅れてしまった場合、引渡日まで遅れざるをえないことがよくあります。完成日と引渡し日の間隔が近い予定であったならば、高い可能性で引渡日まで遅れることになります。

引渡日が遅れたら、買主は予定より引越し日までも遅れることになることがあり、もし今の住宅の賃貸契約期間を過ぎることになれば、実害が生じることもあります。引渡し時期の遅れは、売主と買主、工務店と施主の間で大きなトラブルとなる可能性があることなのです。

2.完成・引渡しが遅れたときの内覧会の注意点とその対策

完成や引渡しが遅れたときの心配事を把握したうえで、そういったときに開催される内覧会に関して買主が注意すべき点や対策について解説します。

2-1.施工ミスや不具合の有無を要チェック

前述したように、突貫工事による施工ミス・不具合が大変心配される状況ですから、買主としては入念に完成状態で施工ミス等のチェックをすべきです。

建物外観(基礎・外壁等)から室内の状況、床下、小屋裏まで時間をかけて雑な工事がないか確認しましょう。

工事が遅れた場合、工程の後半に予定していた壁下地材や内装材の工事が雑になりやすい傾向がありますが、他にもキッチンの配管が接続されていなかったり、ユニットバス天井点検口内部の換気ダクトが接続されていなかったりと驚くような施工ミスや設置忘れなどを発見することがあります。

担当の営業マンの人当たりがよくても、真面目でも、現場の雑な工事を抑止できるわけではありませんから、ドライに物事を見て対処する必要がありますから注意してください

2-2.内覧会に第三者の専門家を同行する

新築住宅の内覧会には、第三者の専門家を同行することが多いですが、工事が遅れた住宅では、大きな施工ミスが発見される可能性が高いのは確かですから、積極的に依頼を検討するとよいでしょう。

建物外観、室内、床下、屋根裏まで確認してもらい、補修すべき事項があれば、売主や工務店に指摘してもらうと安心感が増します。

2-3.引渡しが遅延すれば遅延損害金や違約金の請求を要検討

引渡日が契約で取り決めた日から延期になれば、状況次第で遅延による損害金や違約金の請求を検討してみましょう。工事が長引いたり、引渡日が遅れたりする原因が買主にある場合はだめですが、売主や工務店に原因があるならば、違約金等を求められることもあります。

注文建築の工事請負契約では、遅延した場合の措置を予め決めていることも多いですから、契約書の内容をよく読んで確認してください。

2-4.内覧会の開催を急かさない

注意すべきことは、内覧会の開催を急かさないということです。内覧会を急かすということは、つまり工事を急がせることになりますが、それでは雑な工事が増えて買主にとってはマイナス影響です。

買主としては、予め引越し日までゆとりあるスケジュールを組んでおき、万一の遅れにも柔軟に対応できる体制としておくことをオススメします。また、建築途中に何度か、遅れていないか質問して状況確認しておくとよいでしょう。工程の最後だけ急がせることはリスクが高いですが、普段から工程を守っていく意識を促すことは良い緊張感を生んでくれることも期待できます。

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